心理カウンセラーのひつじ部長です。
今回の内容は、役割を意識するだけで仕事力がアップするというお話です。
制服や衣装などを着ることで、人は態度や行動に変化が表れることがあります。
例えば、
研究員のような白衣を着るだけで、
- 調べものをする時間が伸びたり
- 調べる内容の質が深くなったり
警察官や警備員の制服を着るとルールを守る意識が増し、気持ちが引き締まったり。
とコスチュームに見合う態度や行動をするようになります。
これを心理学では「役割効果」と言います。
役割や立場にふさわしいふるまいをすること。どのような行動や態度が見合っているのか自ら考え実行する。
実は、
この役割効果とは、
仕事に応用できる心理学の1つなんです。
具体的には、
- 役割効果の実験
- 役割効果で部下の能力を伸ばす
- 役割効果を実感した場面
の順番で解説します。
役割効果の実験
論理上許されない実験「スタンフォード監獄実験」。
この実験は「役割効果」の実験としてとても有名な実験です。
被験者に模擬刑務所の中で、
- 看守役
- 囚人役
のコスチュームを着てもらい、それぞれの役を演じてもらうという実験でした。
実験が始まると、
看守役は看守らしく、囚人は囚人らしくなっていきました…。
しかし、演技とはいえその行動がどんどんエスカレートしていき、
囚人役に対して、侮辱的な言動や暴力行為を行う者が出始めたんです‥。
囚人役も、役に入り込みすぎ精神的に追い込まれる者が現れ…。
この実験で分かったことは、
役割や力関係などは、コスチュームによって役割や行動を無意識に強く意識させてしまうということです。
つまり、
本来の持っている性格とは違ったべつの力が働き、自分では制御することができなくなってしまうんです。
役割効果で部下の能力を伸ばす
役割効果とは、間違った使い方をすると、理不尽な権力や暴走につながる可能性が高まります。
しかし、
考え方によっては、
- やる気を出させる
- 本来の力を発揮する
- 新たな才能に出会える
といったプラス要素の多い心理状態へ導くこともできます。
部下のやる気アップのきっかけ
部下の教育も上司の役目ですが…。
悩みますよね‥。
っで!
- やる気がない部下
- なかなか結果がでない部下
に対して、
- 頭ごなしに説教をする
- 自分の経験や想いを伝える
という手段は通用しません。
そこで、
- プロジェクトリーダー
- 担当者
- ○○代理
といった普段とは違う役割を与えることで、その立場にあったふさわしい行動を心理的にうながします。
この普段とは違う役割とは、決して大人数を束ねるといった大規模なモノではありません。
あくまで、本人の意識を少しでも高めるためのきっかけです。
- 2〜3人の中でリーダー
- 1つのプロジェクト内で数人の担当者
などでもOKです。
普段とは違う役割を与えられると無意識に人は、
- 自分で考え始める
- 責任感がでる
- 危機感を感じる
といった今までになかった意識が生まれます。
この意識が生まれた部下に対して、自分の経験や想いを共有すると、
驚くほど吸収してくれるんです。
つまり、
「役割効果」で意識の変化が起き、社会人としての成長を見ることができます。
意識の差は、成長の差に直結する
コスチュームによる「役割効果」
役職別の名札や制服で意識が変化する。
人数が多い職場で効果的なのは、目に見える違いです。
例えば、
- 平社員は青色
- 主任は緑色
- 係長は黄色
- 課長は赤色
- 部長は黒色
など社員証をぶら下げる紐の色で役職を見分ける方法です。
目に見える違いを分かりやすくすると、
- 昇進の実感が湧く
- 身が引き締まり
ます。
もちろん、本人の意識が変わるきっかけになりますが、
周りの社員のあなたに対する見方にも変化が表れます。
人は期待されると、その期待に応えたいとい心理が働きます。
心理学では「ホーソン効果」と言います。
周りからの注目に対して、応えたいという心理的行動によって好結果を出す効果。
役割効果を実感した場面
気づいていないだけで「役割効果」は様々な場面で見ることができます。
例えば、
- サンプリング配布時のユニフォーム
- スポーツチームのユニフォーム
- 医療関係者や研究関係の白衣
- アイドルの衣装
など、
職業や状況に合ったコスチュームになることで、
自ずとコスチュームに見合った役割を果たそうとします。
まとめ
「役割効果」を仕事に取り入れることで、
- いまいちチームの団結力にかける…
- リーダー力を発揮する人材がいない…
- やれば出来るのになぁ…
といった悩みや、部下の教育などにも活用できます。
「役割効果」を使った結果、
- チームワークの強化
- 部下の能力を引き出す
- やる気スイッチを刺激する
ことができ、社内の活性化にもつながるでしょう。
しかし、
「役割効果」をフルに活かすには、
- 部下への信頼
- 余裕のある態度
を部下に示すことが必要です。
なぜなら、
上司に信頼されていることを感じ取ることができれば、
自然と期待に応えたいという気持ちが生まれます。
心理学で言う「返報性の法則」が働きます。
同じようにお返しがしたい。と無意識に思うんです。
つまり、
「役割効果」とは、
部下を信じる気持ちが部下のやる気スイッチを刺激するんです。