本日は、こんなお悩みをいただきました。
最近、部下からの報告が遅くて困っています。問題が起きた時の対応の遅れにもつながるので、私への報告はもっと早くするように注意はしているのですが、一向に改善されません。なにか良いアドバイスはないでしょうか?
部下からの報告や連絡、相談といったいわゆる報連相の遅れや、まったく報連相をしてこないという相談は非常に多いです。
そもそも、部下があなたに報告をしてこない理由は、
- 部下とのコミュニケーション不足
- 部下の仕事へのやる気
などが関係することもありますが、
実は、
根本的な原因は、報告を受ける側に問題があるんです。
つまり、
部下からの報告が遅いと悩んでいるあなたに問題があるかもしれません。
そこで今回は「【MUM効果】部下の報告が遅れる原因は…上司に問題あり!」と題して、報告が遅い部下の心理と報告を受ける側の問題点について解説します。
それでは、参りましょう。
今回のお悩み解決のポイントは、
- なぜ部下はいつも報告が遅いのか?
- 部下からの報告が早くなる方法
の2つです。
具体的に解説していきます。
なぜ部下はいつも報告が遅いのか?
あなたへの報告が遅い理由は、相手にとって悪い知らせほど伝えたくない心理が働くからです。
この心理を「MUM効果」と言います。
例えば、
子供の頃、テストの点数が悪くてお母さんやお父さんにテストの結果を伝えるのが嫌だった経験はありませんか?
「ちゃんと勉強してたの?」
「どうしたらこんな悪い点数になるの?」
ってどうせ言われるに決まってる…。
そう考えてしまうとついつい…伝えるのが遅くなってしまいます…。
部下からの報告が遅い原因も「MUM効果」が関係しています。
「MUM効果」の特徴として、
- 報告が遅くなるほど、悪い方に悪い方に考えてしまう
- 報告を受けた側は、報告をした側にマイナスの評価を下しがち
の2つがあります。
つまり、
上司へ報告をしなければいけないと思えば思うほど、ついつい後回しになってしまい、完全に報告するタイミングを逃してしまいます。
さらに、
「悪い報告をしてしまうと自分の評価が下がってしまうのでは?」
「こんな報告をしたら上司に怒られてしまうのでは?」
といった心理が働くため、結果的に上司への報告が遅れてしまうんです。
部下からの報告が早くなる方法
それでは、報告を早くしてもらうにはどうすればよいのでしょうか?
部下の報告が遅い原因に「MUM効果」が関係している場合、
- 部下に対するあなたの対応
- 悪い報告でも共有しやすい環境
の2つが重要です。
具体的に解説します。
部下に対するあなたの対応
報告をしてきた部下に対する態度や言葉を改善するだけで報告が早くなります。
具体的には、次の3つを改善しましょう。
- 報告した部下への評価
- 報告した部下への感謝
- 報告した部下への指示
報告した部下への評価
報告内容で判断せず「報告が遅れた」ことに対し「部下の評価を下す」傾向があります。
つまり、
仕事の結果でしか相手を評価していない証拠です。
仕事の過程に着目していれば、やるべきことはやってる事実を踏まえ、正当な評価ができるはずです。
それなのに、問題が起きたことだけに着目してる上司だと、
「どうせ部長は、結果しか興味がない…だから過程を説明しても納得してもらえない…。」
「どう説明してもそんな言い訳するなって言われるだけ…。だから報告なんてしたくないんだ…。」
結果のみで判断されてしまうのであれば、そりゃ悪い報告なんてしたくないですよ。
報告した部下への感謝
問題を報告した部下に感謝すべき。
早い段階で報告を受ければ「問題が大きくなる前」に会社としてリスクヘッジできるからです。
どんなに大きな問題でも、最初は些細なことがきっかけで、徐々に大きな問題へと発展します。
問題を起こしたことを責めてはダメです。
もちろん、部下に対して怒りが込み上げてくることもあるかと思います。
ですが、グッと我慢しましょう。
あなたのその怒りは、部下の報告が遅いことに対して、
「私になかなか報告してこないのは、よっぽど問題が深刻なはず…。」
と無意識に悪い方に膨らませているんです。
つまり、
部下からの報告 → 悪い報告 → 部下を叱る
といった勝手な思い込みが存在するんです。
そこで、
大切なことは「あなた自身の考えを変える」ことなんです。
問題を起こした部下を否定するのではなく、悪い報告だろうが早いタイミングで報告をしてくれた部下に、むしろ感謝すべきである。
問題を正直に報告してくれてありがとうと伝えてあげてください。
報告した部下への指示
頭ごなしに怒鳴りつけるだけ…なんてことはしてませんか?
「これ以上問題を大きくするな!おまえはもう何もしなくていいから!」
問題を起こしてしまったのは確かにあなたの部下かもしれません。
ですが、問題が起きてしまったことは仕方ないんです。
怒りのあまり、その問題から部下を引き離すことはやめるべきです。
あなたが問題解決に向けた的確な指示をすることで、
問題を起こした部下の
- 経験
- あなたへの尊敬
に繋がります。
つまり、
問題の解決方法を自ら経験することで、スキルアップとなり自信にもなるでしょう。
なにより、
問題が起きた時こそ、あなたを頼っても大丈夫という安心感が生まれるからです。
さらに、
あなたが指示を出すのではなく、本人に問題解決に向けた案を求めるのも良いでしょう。
「すぐに報告をしてくれてありがとう。君ならこの問題をどう対応する?」
問題が起きた時こそ、部下の成功のチャンスなんです。
悪い報告でも共有しやすい環境
悪い報告であっても共有することが最優先。
「上司に伝えにくかったから…問題が大きくなってしまった。」
なんて無意味ですよね?
悪い、良いに関わらず上司への早急な報告は、共通認識として持つべきなんです。
だからこそ、
「MUM効果」には、個人ではなく、チーム、部署、会社といった大きい単位での対策が必要なんです。
そうすることで、問題を報告した個人だけを責めることがなくなります。
例えば、
トヨタでは、悪い報告こそ優先的に行うことが、社内の共通認識であるそうです。
悪い報告ほど人は隠したいという心理状態(MUM効果)をわかった上での対策であるため、報告をした部下に対して、叱ったり、責めたりしてはいけないと決められています。
まとめ
部下からの報告が遅い理由は、相手にとって悪い知らせほど伝えたくない心理が働くからでした。
この心理作用を「MUM効果」と言います。
要するに、
「部長に報告したら、絶対…怒られる…。あぁ…伝えにくい…。しかも、評価下がるし…査定にひびくかも…。」
って思えば思うほど伝えるのが遅くなるのは当たり前です。
では、
どうすれば部下の報告が早くなるのでしょうか?
結論は、
部下が悪い報告だろうが、堂々と報告できる環境を整えてあげることでした。
見直すべき点は、
- 報告した部下への評価
- 報告した部下への感謝
- 報告した部下への指示
の3点です。
そして、
悪い報告でも共有しやすい環境を整えること。
つまり、
受けて側の考え方を改善すべきなんです。
最後になりましたが、
悪い報告を指摘するのではなく、早急な問題解決に向き合った部下を評価できる仕組みは会社の発展のためには必要だと考えます。
もちろん、
上司や会社に伝えにくいような問題を起こさないのが理想です。
ですが、問題解決に向けた部下の成長も見守ることも上司や会社の役目ではないでしょうか。